5月に上京したときに美輪明宏さんの『愛の讃歌~エディット・ピアフ物語』を観ました。
『ル・テアトル銀座』は訪れた方は分かると思うのですが、日本とは思えないほどの豪華で上品な作りの劇場です。
オペラのようなボックス席もあります。
座席は750席であまり広くはないのですが、なぜこの劇場を美輪さんが選んだかというと、マイクなしで、自分の声だけで、舞台をするからです。
もちろん、ほかの団員の方も、マイクなし。
生声のみの舞台です。
いくら練習を積んだとしても、人間の声ですので限りがありますが、誰も咳ひとつすることなく、聞き逃さないように耳を傾けて、舞台を見ています。
舞台は3部構成で、なんと4時間弱の長丁場です。
見ているほうも大変でしたが、美輪さんのパワーがものすごくて、気迫と、この舞台にかける愛情に溢れていました。
お話の内容は、あの有名な世紀の歌姫のピアフの半生を描いています。
悲しみと貧困、愛と享楽、裏切りと別れ、そして、彼女の傍にはいつも歌がありました。
豪華な衣装と、素晴らしい脇役に囲まれて、美輪さんは本当に眩しいほどの輝きを放っていました。
あの歌声は本当にすごいです。
生で聞いた人にしか分からないと思います。
あと、ピアフの妹役のYOUさんが、目を見張るほど好演をしていました。
間の取り方とか、ちょっとした一言など、実にテンポがよくて、天性の才能だと思いました。
いつものバラエティーでも、ちょっと変わった受け答えをするYOUさんの頭のよさが、ここでも発揮されていました。
彼女は彼女のカラーをちゃんと持っていて、自分で把握していて、有効につかうことが出来るという、天分の才能がありますね。
本当に、あの4時間に近い長時間の舞台をやり遂げることができる美輪さんは、すごいです。
とても75歳には見えません。
最後は客席が総立ちで、「ブラボー」の掛け声が、いくつも上がっていました。
わたしも拍手をしながら、最後は泣けて泣けて……。
歌とお芝居もすばらしくて、そのうしろにある美輪さん自身の人生とか、気概とかが透けて見えて、その重さにも感動しました。
観客も大人だけで、円熟していて、落ち着きと風格があって、本当に『大人のための、大人の舞台』だなと思いました。
残念ながら、日本には、こういう、大人が楽しむための場所があまりないですよね。
こういう場所が、これから、もっと増えていったらいいなと思いました。
この国は若いことばかりが持て囃されますが、この舞台を見て、しみじみと「年を取ることは、素敵だな」と思いました。
やはり、年齢を重ねなければ、見えてこないものがあります。
[0回]
PR
- 2011/06/07(火) 23:39:45|
- 日記|
-
トラックバック(-) |
-
コメント:0