新刊できました。
ちょっというか、かなり予定外で、アダルト指定ありませんでした。
しかもコピー本です。
それなのに64ページって、自分バカかと思いました。
本作りで、今日は朝の4時起きですよ。
朝ですよ、朝!
今、東京のホテルですが、今日はまだ一歩も外に出ていません。
いったい何しに、東京に来たのでしょうか?
本を作りに来たようなものです。
でも、無事に製本作業は終わりました。
あー、よかった。
明日は新刊がありますので、よろしかったら、ぜひお立ち寄りくださいませ。
今回で、コミケ参加はお休みしますので、(息子がもうすぐ受験だし、わたしの体力ももうギリギリで、しかも父親の体調もよくないのです)わたし自身も、コミケを楽しもうと思います。
では、夏コミで!
【Secret Crush】 9章目から、途中抜粋
ドラコは立ち上がるとまわりこんで、ハリーの隣に座った。
ふいに近づいてきた相手の行動に戸惑い、不思議そうな顔で、見つめ返す。
ドラコは手を伸ばして、ハリーの乱れている髪の毛をそっと耳の後ろへ流すように指先で梳いた。
「君は馬鹿が付くほど、本当にお人よしだな。損得に惑わされない、自分の信念を持っているし……」
黒い巻き毛を撫で続ける。
「融通が利かなくて、真面目で、石頭で、本当に愚かなグリフィンドールの典型だ」
憎まれ口をたたきながらも、ドラコの口調はどこまでもやさしかった。
「……それでも、ハリー。いつかは君のそういう所を見てくれる相手がきっと出来るからな。そういう部分がいいと言ってくれる相手が絶対に見つかるさ。──そうしたら、君はその恋人を何よりも大切にしたらいい。思い切り大切にしたら、相手も君のことを誰よりも大切にして、ちゃんと君の気持に答えてくれるからな……」
ハリーはじっとドラコを見詰めたまま、動かない。ただ、瞳に涙が盛り上がっていくだけだ。
「──大丈夫だ。君はたくさんの命を今までに救ってきたんだ。その君自身が救われなくて、いったいどうするんだ。なっ、そうだろ、ハリー……」
相手に言い聞かすように、静かな声で告げる。
ハリーの喉元が震えて、目をギュッと閉じると、堪らずドラコの肩にもたれかかってきた。
「僕は……、僕は──」と呟くだけで、それ以上は言葉にもならない。
「君の生き方は間違っていない。ただ、不器用なだけだ。きっと、今度こそうまくいくさ」
肩に顔を埋めているハリーに顔を寄せる。
相手の髪がとても柔らかくドラコの頬に触れてきた。
「大丈夫だ」
念を押すようにもう一度囁くと、ハリーは嗚咽を漏らし、流れ落ちた涙の滴が、ドラコの手を濡らした。
震え続けている肩を包み込むように抱きしめると、ハリーも腕を伸ばして抱きしめ返して、すがってくる。
──言葉は必要なかった。
そういうものがなくても、相手の気持ちが手に取るように理解できたからだ。
ただ、ハリーは泣きたかっただけだ。
ただ、「大丈夫だよ」と言ってくれる相手が欲しかっただけだ。
ただ、安心して抱きしめてくれる相手が欲しかっただけだ。
すがりついて泣けることが出来るならば、誰だってよかったんだ。
ハリーは失恋し、傷ついていた。
日々の忙しさに埋没して、ストレスで身も心も、きっと限界なのだろう……。
きっと、耐えられないほど、ぎりぎりの位置に立っているから、ハリーは苦しくてどうしようもなくて、自分の胸で泣くんだ。
だから勘違いしないほうがいいと、自分の中に湧きあがってくる感情を、ドラコは押しこめる。
抱きしめて、幸福を感じているのは、自分だけだ。
──ハリーではない。
そうドラコは自分自身に思い込まそうとしていたのに、ハリーが涙を滲ませているのを見たら、我慢ができなくなった。
相手の前髪をかき上げると、見上げたハリーの視線と自分の視線が絡まる。
顔を寄せると、ドラコの唇がハリーの額に触れた。
あの傷跡にキスを落とす。
ハリーは何も言わずにそれを甘んじて受け止めて、一層強くドラコを抱きしめた。
──すべてが、夢のように心地よかった。
あまりにも気持ちがよくて、すべてが間違っていると、ドラコは悲しく思ったのだった……
続きは、同人誌にて。
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- 2011/08/12(金) 15:47:10|
- 日記|
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